こんにちは。静岡の中小企業診断士、三倉です。
IT投資やAI活用などで業務の自動化を検討していませんか?
最新のITツールは非常に優れており、様々な業務を自動化することが可能です。しかし、完全自動化を目指すことは必ずしも最善の選択とは言えません。
今回は、なぜ完全自動化がお勧めできないのか、その理由と考え方についてお話ししたいと思います。
完全自動化のコストイメージ

完全自動化は通常のシステムに比べてコストが跳ね上がります。その理由は、それだけ作り込まなければいけないためです。
そもそも、絶対にバグを起こさないシステムを構築するためには、それ相応の高度なスキルを持つエンジニアをアサインし、システム設計からテストまで綿密に行い、不具合が発生しないように入念に作り込む必要があります。当然、そのためには多大な時間と労力、そして費用が掛かります。
一方で、例えば多少の不具合は許容できるという条件であれば、それほど厳密に作り込む必要もないですし、ある程度ラフに作成することもできます。つまり、完全を求めれば求めるほど、コストは比例して上がっていくというイメージです。完全自動化を目指すということは、そのような高コストを許容できるだけの価値があるかどうかを見極める必要があるのです。
コスパ(費用対効果)を求めるなら半自動化や部分的な自動化
先ほど述べたように、完全な自動化を求めるとコストが跳ね上がってしまいます。
ですので、費用対効果を重視するのであれば、半自動化や部分的な自動化を選択するのが賢明だと言えます。
例えばAIの活用であれば、すべての工程をAIに任せるのではなく、AIに適した部分のみを自動化し、それ以外は人の手で行うといった方法が考えられます。システム化についても同様に、人間の作業とシステムの役割を明確に切り分け、すべてを丸ごとシステムに委ねるのではなく、効果的な部分のみを自動化するのです。
こうすることで、完全自動化に比べて格段にコストを抑えつつ、それでいて一定の効率化は図ることができます。業務の性質をよく見極め、コスパを意識しながら自動化の度合いを決めていくことが肝要だと言えるでしょう。
AIを扱うセンスも同じ感覚かもしれない
昨今、AIの技術は目覚ましい発展を遂げていますが、だからと言って安易にAIに頼り切るのは危険です。
AIを業務に活用する際にも、すべてをAIに判断させ出力させるのではなく、適切に人が介在しながらアウトプットを作り上げていくことが重要だと私は考えています。
現時点では、まだまだ人間でなければ判断できない微妙なニュアンスや状況判断が求められる場面も数多く存在します。そのような部分こそ、人の感覚を活かしていくべきなのです。
つまり、AIの得意分野と不得意分野をしっかりと見極め、うまく棲み分けながら活用していくこと。そういったAIを扱う際のセンスや判断力こそが、これからのAI時代に求められるスキルなのかもしれません。
最適な自動化の形を模索する
今回は、業務自動化を進める上で、完全自動化よりも半自動化や部分的な自動化を目指すべき理由についてお話ししました。
完全自動化はコストが跳ね上がりやすいため、コスパを重視するなら避けるべきだというのがポイントです。AIの活用でも、人の介在を適切に設計することが肝要だと言えます。
完全自動化に憧れるのではなく、業務に合わせた最適な自動化の形を模索しましょう。 時にはAIの力を借りつつ、人の力も上手く活用する。そんな柔軟な発想で、効率化を図っていくのが理想です。